ラファエロ2020の第2弾 ベルリン美術館絵画館

ダ・ヴィンチ没後500周年を記念する美術展の興奮はまだ冷めることはありません。 にもかかわらず、なんと来年は、ダヴィンチ、ミケランジェロともにハイルネッサンス3大巨匠であるラファエロ・サンティ(1483-1520)の没後500周年にあたります。 わずか37歳で夭折したラファエロですが、信じられないほど多作で、絵画から、ドローイング、版画、彫刻、タペストリー、教会デザイン、詩までに関わっています。 短命でも 彼の芸術性を存分に昇華できた理由は、彼の「完璧な紳士」のような性格にあったと言われています。温和で誰の意見にも耳を傾け、パトロンたちの信頼を築き、工房のマネジメントにも活かされたのです。 ラファエロの芸術が結集する美術展が続々と予定されていますが、 その第2弾が開幕しました。第1弾はすでにラファエロ生誕地、ウルビーノにあるマルケ国立絵画館にて『ウルビーノのラファエロと友人たち』が始まっています。 ベルリン美術館『ラファエロ in ベルリン: ゲメルデガレリー(絵画館) の聖母』 2019年12月13日〜 2020年4月26日 ところで何がハイライトなのでしょうか。 当美術館が所蔵する5点の『聖母子像』とロンドンナショナル・ギャラリー『カーネーションの聖母』を、ひとつの部屋でじっくりと観察する贅沢すぎる展覧会なのです。 ベルリン美術館「ラファエロ in Berlin」 (AP Photo/Markus Schreiber) その中心に展示された目玉が、メダリオン型ポプラ材パネルに描かれた聖母子、洗礼者ヨハネ、聖なる子です。視線を投げ方、肌の透明感、バランスのとれた背景、イノベイティブな構図が、ラファエロの独創的な世界を創っています。 ラファエロ・サンティ、『テラヌオーヴァの聖母』、1505頃、88.5 cm、ベルリン美術館 面白い比較としてもう一枚油彩を見てみましょう。聖母子とともに、聖ヒエロニムス(左)と聖フランシスコ(右)が描かれています。上の絵のわずか3年前に書かれた絵なのですが、少し硬さがあることに気がついていただけるのではないでしょうか。でも、構図のユニークさ、整然とした背景との一体感、微妙なテクスチャーの描き分けはすでに際立っています。 ラファエロ・サンティ、『聖母子と聖人』、1502頃、35.3 X 29.8 cm、ベルリン美術館 ラファエロのドローイング力は、世界の名立たる画家の中でも傑出しています。ドローイングを観察すると、彼の天才ぶりが一層鮮やかに分かります。…