イーロン・マスクの「眼」は何を観ているのか


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  • よくいただく質問

よくいただく質問に、次があります。

「じっくり観察する暇はないです。時間をかけて観ることは、今のスピーディーな時代に逆行しているのではないですか?」

そう感じられるのは、もっともかもしれません。

検索ですぐに答えが見つかる時代に、観ることに時間を取るなんてもったいない!と思いがちです。

でも実際のところ、表面的に見ただけで、他人が発見できないような核心を見つけたり、成功したり、イノベーションを起こしたりしたという上手い話はほとんどないです。

この点は、昔も、この現代もまったく同じです。


  • 成功者はやはりよく観ている

『 知覚力を磨く 』でも、絵画を観るように世界を見ている成功者たちの例について、ダ・ヴィンチから、アインシュタイン、黒澤明監督、柳井正さんまで大勢挙げました。加えて、ごく周りの人々を参考にしても、切れ者はやっぱり`世界をよく観ていますね。専門分野に固執することなく、広く観ていているのが特徴です。

ひとつ大事なポイントは、彼らは観ようと意気込んでいるわけではなく、観ることが習慣になっていて、ただ地道によく観ることを継続しているようです。その上で、判断や行動がスピーディーに行われています。

観たものやそれに対する自分の解釈が知識として脳に蓄積されていくと同時に、視覚的刺激が好奇心が突き動かして「思考」へと無理なく導いてくれます。



  • 未来を観ているだけではない

さて、今年11月に世界一の億万長者になったイーロン・マスクですが、彼に対してどんな印象をお持ちでしょうか。

テスラ社やスペースX社といった未来の先駆けとなるようなビジョナリーな企業のCEOとして、未来を常に追いかけているような、細かいことをすっ飛ばして大きなことだけ夢見ているような印象を与えがちではないでしょうか。

ところが、彼も成功者として例外ではなく、「詳細を観ること」の価値を重視しているひとりです。


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  • 誰を雇用するのか

イーロン・マスク は、スペースX社の採用面接を自分で行っています。

いつも次の質問をするそうです。そうすると、「自分が欲しい人材かどうか」がだいたい分かると言います。


■自分の人生の転機で、どんな決断をなぜ行ったか。

■これまで直面した最も困難なことは何で、いかに解決したか。


マスクは、これらの質問をする理由について次のように説明しています。

「本当に意思決定したり、問題解決したりして、そのノウハウを学んだ人は、その時の細かな詳細についてちゃんと知っています。ところが、フリをしている人は、一つのレベルにとどまってしまって行き詰まるのです。そういう人に詳細を尋ねても、答えることはできません。」

あっ、そう言えば、アリストテレスも似たようなことを言ってましたっけ。本物の知恵は、古代から、現代まで延々と突き抜けます。

イーロン・マスクのインタビューはこちらでお楽しみください。