良い病院のアート

スペンサー・フィンチ、夏山へ行く (2017)、 クリーヴランドクリニック、Courtesy of James Cohan Gallery. Photo: Steve Travarca. artnet.com

久しぶりに都内の大病院のひとつに行ったのですが、あまりの混雑ぶりに圧倒されました。広い待合室にもかかわらず、空席はまばらでした。予約があっても、30分以上待つのは普通だそうです。

待ち時間が長かったからといって、効果的な読書やパソコン作業ができないのが、病院という場所ではないでしょうか。

もちろん病気への心配もありますし、医師にどのように説明しようかを頭の中でリハーサルしたりして、落ち着かない気分だったり、ぼーっとしたり、本体の自分というわけにはいきません。

最近のデンマークの研究で、患者へのアートの効用が実証されています。

■待合室の患者の満足度が向上する

■治療効果も上がる(入院期間の短縮、痛みの許容度など)

スペンサー・フィンチ、夏山へ行く (2017)、 クリーヴランドクリニック、Courtesy of James Cohan Gallery. Photo: Steve Travarca. artnet.com

でも、いったいどんなアートが患者にとって最も有益なのでしょうか。

この点に関しては、まだ一致した見解はありません。ただ 風景画が、 不安な心情や弱った体をいたわるために有効なことは間違いないでしょう。

キャサリン・オピエ、中間地点 (2010/11). ©Catherine Opie, courtesy Regen Projects. Photo: Neil Lantzy. artnet.com

病院の壁というのは大抵、清潔感の白。アートが映える美術館の設定と同じなのですね。

上記2枚の写真は、全米ベストクリニック第2位(2018-19)のクリーブランドクリニックのものです。美しい癒しのアートを展示して、その治癒パワーを活用しています。

日本でもそうなると、相当長い待ち時間の質が上がるのではないでしょうか。

アメリカオハイオ州、クリーヴランドクリニック