世界一古いナラティヴアートがアジアで発見された?

近年、洞窟画からワクワクする発見が相次いでいます。 まず2018年は、従来の学説が覆った記念すべき年でした。どういうことでしょうか。 今まで、クロマニヨン人が史上最初のアーティストだと信じられてきました。ところが、スペイン3か所の洞窟画で実施された年代測定で、6万4千年以上前にまで遡ることが判明したからです。 つまり、史上初のアーティストは、 クロマニヨン人 から、想定したよりもはるかに洗練されていたネアンデルタール人へと書き換えられたわけです。 その画像を挙げましょう。右の描き起こしの方を見ると、動物のお尻部分がはしご、あるいは柵に囲われているように見えますね。あくまでも推測に過ぎませんが…。 スペイン、ラバシェガ洞窟壁、右は描き起こし 写真:ロサンジェルスタイムス さらに2018年後半には、南アフリカで、7万3千年前まで遡るドローイングも発見されました。下の画像をよく見ると、9本のラインが交差して書かれています。何かのシンボルでしょうか。 南アフリカ、ブロンボス洞窟 そして2019年末、科学的年代測定法が再び、また既存の学説を書き換えるニュースが入ってきました。 何かと言いますと、世界一古いナラティヴ(ストーリーを語る)アートの年代が書き換えられそうなのです。しかもその所在地は、ヨーロッパでもアフリカでもなく、アジア。しかもその年代は、4万4千年前まで遡ります。 狩猟シーン、インドネシア、スラウェシ島 写真:Ratno Sardi/Griffith University その絵は狩猟シーンで、左の人間らしき人々がロープや槍のようなもので、右の牡牛のような動物を仕留めようとしています。左の方はよく見えませんが、右の動物の描線は迷いなく描かれています。 これまで最初のナラティヴアートは、 2万年以上前よりも遡らないフランスラスコー洞窟と信じられていました。それを2万年以上も更新したわけです。 今後も、「人間とクリエイティビティ」の起源の解明に目が離せません。

良い病院のアート

久しぶりに都内の大病院のひとつに行ったのですが、あまりの混雑ぶりに圧倒されました。広い待合室にもかかわらず、空席はまばらでした。予約があっても、30分以上待つのは普通だそうです。 待ち時間が長かったからといって、効果的な読書やパソコン作業ができないのが、病院という場所ではないでしょうか。 もちろん病気への心配もありますし、医師にどのように説明しようかを頭の中でリハーサルしたりして、落ち着かない気分だったり、ぼーっとしたり、本体の自分というわけにはいきません。 最近のデンマークの研究で、患者へのアートの効用が実証されています。 ■待合室の患者の満足度が向上する ■治療効果も上がる(入院期間の短縮、痛みの許容度など) スペンサー・フィンチ、夏山へ行く (2017)、 クリーヴランドクリニック、Courtesy of James Cohan Gallery. Photo: Steve Travarca. artnet.com でも、いったいどんなアートが患者にとって最も有益なのでしょうか。 この点に関しては、まだ一致した見解はありません。ただ 風景画が、 不安な心情や弱った体をいたわるために有効なことは間違いないでしょう。 キャサリン・オピエ、中間地点 (2010/11). ©Catherine Opie, courtesy Regen Projects. Photo: Neil Lantzy. artnet.com…