新年あけましておめでとうございます。
今年もダヴィンチ研究所をどうぞよろしくお願いいたします。
新年のイベントのひとつとして、公益財団法人関西生産性本部主催でオンラインセミナー「知覚力を磨く―知覚で不透明な世界を切り拓く」が開催されます。お目にかかれますことを楽しみにしております!
ところで、年明けからそわそわしております。なぜってコロナはどこ吹く風、2022年の美術展は熱い企画が目白押しなのです。
もしも自家用ジェットを持っていたならば、いますぐロンドンに、3月はフィレンツェに間違いなく飛びます。
世界で開催されるイチオシ美術展を、時系列でご紹介してまいりましょう。
- Dürer’s Journey: Travels of A Renaissance Artist(デューラーの旅:ルネッサンス芸術家の旅行)
ナショナルギャラリー、ロンドンにて、2022年2月27日まで開催
久々の大規模なアルブレヒト・デューラー 展です。絵画、ドローイング、版画、手紙を展示しながら、ヨーローッパ中を旅した彼の軌跡を追います。
デューラーと言えば、やっぱりエングレービングです。その神業は、後世のアーティストたちに多大なる影響を与え続けてきました。その中でも状態が良い作品は非常に希少ですから、それらが一同に会して比較できる機会は貴重この上ありません。
デューラーの エングレービングの魅力 については、別エントリーで詳しく書いております。
- フェルメールと17世紀オランダ絵画展
東京都美術館にて、2022年1月22日〜 2022年4月3日
フェルメール展と言っても、彼の作品は1点だけで、他を埋め尽くすのは、17世紀オランダ絵画作品ということはご理解の上で足を運んでくださいね。
とは言うものの、たった34しかないフェルメール作品の1点1点を着実に脳に刻み付けたいファンも大勢いらっしゃるでしょう。
今回のハイライトである1点は、2019年修復後、世界初公開(所蔵美術館であるドレスデン国立古典絵画館以外では)となる『窓辺で手紙を読む女』です。
フェルメールの意図に反して、厚い釉の下で眠っていたキューピッドが修復によって遂にお目見えしました。それを確かめるだけの目的に行っても、十分過ぎる価値がある展覧会でしょう。
- Donatello, The Renaissance (ドナテッロ、ザ・ルネッサンス)
ストロッツイ宮殿とバルジェロ美術館にて、2022年3月19日〜7月31日
ベルリン絵画館にて、 2022年9月2日〜2023年1月8日
史上初とも言えるルネッサンスの巨匠の中の巨匠ドナテッロ(正式名ドナート・ディ・ニッコロ・ディ・ベット・バルディ) の大規模展覧会です。イタリアで展示された後は、ドイツへ、そしてイギリスにも巡回予定です。
ドナテッロ は、彫刻における画期的イノベーターです。有名なのは、史上初の自立した立像 『ダヴィデ像』ですが、大理石にこれでもかと浅く彫ったレリーフも彼の発明です。さらにレリーフに、線遠近法を導入した最初の人でもあります。
石、ブロンズ、木、スタッコ、ワックス、粘土までの素材を巧みに操り、人間の動きとその内面を流麗にとられた作品は、究極の洗練された美として記憶に残り続けるでしょう。
- Cézanne (セザンヌ)
テートモダン、ロンドンにて、2022年10月6日〜 3 月12日
セザンヌの油彩90点、水彩、ドローイング40点やスケッチブックなどが見られる大回顧展です。アメリカ、ヨーロッパ、アジアにあるコレクションが集結します。
モネ、ピサロ、ピカソ、そして現代アーティストにも影響し続けている「アーティストのためのアーティスト」であるセザンヌを総合的に理解するためのチャンスになるでしょう。
米国では25年ぶりのセザンヌ展で、近年のテクノロジーを活かした画家の再解釈にも期待がふくらみます。