Art Basel 2021が、9月24-26日に開催されました。
毎年6月にスイス北西部バーゼルで行われている世界最大の現代アートフェアですが、COVID-19の影響を受け、昨年はオンラインのみ、今年は3か月遅れでオンサイトの方も開催に踏み切りました。
今回は、250のギャラリーと4000人以上のアーティストの作品が、オンサイトとオンラインで一堂に会しました。
「どんな現代アート作品に自分は魅力を感じるのか?」
「今評価されているのは、どんな作品なのか?」
と考えながら覗いてみると、いつも楽しいサイトです。現在は、12月にマイアミビーチで行われるアート・バーゼルでの出品予定作品が閲覧できます。著作権の関係で、ここには残念ながら作品を掲載できませんが….…。

ところで、アート・バーゼルのスポンサーが、あのスイスに本社がある投資銀行であり、金融サービス会社であるUBS(Union Bank of Switzerland)です。アート・バーゼルの他にも、数々のアートや音楽イベントのスポンサーとして有名です。

UBSは、個人資産を運用する銀行としては世界第1位です。要するに、アートのスポンサ一としての活動は、富裕層の信頼を得ることに十分意味があるわけです。
UBSは、Arts Economics に委託して毎年アート市場についても緻密な調査をしています。そのデータに注目すると、日本の新聞ではあまり取り扱われないような面白いことが分かります。
特に興味深いところに着目してみましょう。
- COVID-19の影響で、2020年の美術品セールスは501憶ドル(日本円に5兆10億円)と22%落ち込んだ。にもかかわらず、オンラインでの美術品セールスは史上最大規模となり、1年で2倍で124憶ドル(日本円にして1兆240億円)となった。
- 富裕層アートコレクターの66%が、COVID-19によってアートへの関心を一層深めている。
- アートに100万ドル(日本円にして1億円)以上支払った世代別割合を見ると、ベビーブーマー世代の富裕者層(1946-1964年頃生まれ)が17%、その一方でミレニアル世代の富裕者層(1981年頃以降生まれ)は30%とより多かった。
- 世界最大規模のアート市場は、相変わらずアメリカ42%, 中国20%、イギリスが20%がトップ3を占めている。

- 2009年のリーマンショックの際に、ビリオネア(金融資産10億ドル、日本円にして1000億円以上)の数は30%減り、その資産は45%落ち込んだが、2020年におけるビリオネアの数は7%増えて、その資産は32%上昇した。
- 世界のミリオネア(金融資産100万ドル、日本円にして1億円以上)の割合(左)と資産5000万ドル(日本円にして50億円)以上の富裕者の国別の割合は、次の通りである。

- 日本のビリオネアの資産上昇率が、2020年3月から12月にかけて73%となり、世界一だった。

この上昇率は、どこから来ているのか興味深いですね。
また、日本も今、アートオークションが盛り上がっています。日本も、中国並みのオークション熱を持つようになれば、経済の活況の一助となることは間違いありませんから、これからの動向に大いに期待がかかります。