ラファエロ2020美術展リスト

2020年は、ダヴィンチ、ミケランジェロともに盛期ルネッサンス3大巨匠であるラファエロ・サンティ(1483-1520)の没後500周年にあたります。 それを記念し、世界中で行われる美術展をリストアップしておきましょう。 『ウルビーノのラファエロと友人たち』マルケ国立絵画館、ウルビーノ ■2019年 10月3日〜 2020年 1月 19日 ウルビーノで生まれたラファエロが、最初の師であったピエトロ・ペルジーノから何を学び、ジュリオ・ロマーノなどの弟子たちに影響を与えたかを探る展覧会です。 次のロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵『アルドブランディーニの聖母』が観覧できます。 ラファエロの最も円熟した聖母子像と言える作品です。 ラファエロ・サンティ、『 アルドブランディーニの聖母 』、1511、38.9 x 32.9 cm、ナショナルギャラリー、ロンドン 『ラファエロ in ベルリン:ゲメルデガレリー(絵画館)の聖母』ベルリン美術館 ■ 2019年12月13日〜 2020年4月26日 別ブログに詳しく書いていますので、そちらをぜひご覧ください。 『ラファエロとその仲間たち』ナショナルギャラリー、ワシントン ■2020 年 2月16日〜 2020年 6月14日…

ラファエロ2020の第2弾 ベルリン美術館絵画館

ダ・ヴィンチ没後500周年を記念する美術展の興奮はまだ冷めることはありません。 にもかかわらず、なんと来年は、ダヴィンチ、ミケランジェロともにハイルネッサンス3大巨匠であるラファエロ・サンティ(1483-1520)の没後500周年にあたります。 わずか37歳で夭折したラファエロですが、信じられないほど多作で、絵画から、ドローイング、版画、彫刻、タペストリー、教会デザイン、詩までに関わっています。 短命でも 彼の芸術性を存分に昇華できた理由は、彼の「完璧な紳士」のような性格にあったと言われています。温和で誰の意見にも耳を傾け、パトロンたちの信頼を築き、工房のマネジメントにも活かされたのです。 ラファエロの芸術が結集する美術展が続々と予定されていますが、 その第2弾が開幕しました。第1弾はすでにラファエロ生誕地、ウルビーノにあるマルケ国立絵画館にて『ウルビーノのラファエロと友人たち』が始まっています。 ベルリン美術館『ラファエロ in ベルリン: ゲメルデガレリー(絵画館) の聖母』 2019年12月13日〜 2020年4月26日 ところで何がハイライトなのでしょうか。 当美術館が所蔵する5点の『聖母子像』とロンドンナショナル・ギャラリー『カーネーションの聖母』を、ひとつの部屋でじっくりと観察する贅沢すぎる展覧会なのです。 ベルリン美術館「ラファエロ in Berlin」 (AP Photo/Markus Schreiber) その中心に展示された目玉が、メダリオン型ポプラ材パネルに描かれた聖母子、洗礼者ヨハネ、聖なる子です。視線を投げ方、肌の透明感、バランスのとれた背景、イノベイティブな構図が、ラファエロの独創的な世界を創っています。 ラファエロ・サンティ、『テラヌオーヴァの聖母』、1505頃、88.5 cm、ベルリン美術館 面白い比較としてもう一枚油彩を見てみましょう。聖母子とともに、聖ヒエロニムス(左)と聖フランシスコ(右)が描かれています。上の絵のわずか3年前に書かれた絵なのですが、少し硬さがあることに気がついていただけるのではないでしょうか。でも、構図のユニークさ、整然とした背景との一体感、微妙なテクスチャーの描き分けはすでに際立っています。 ラファエロ・サンティ、『聖母子と聖人』、1502頃、35.3 X 29.8 cm、ベルリン美術館 ラファエロのドローイング力は、世界の名立たる画家の中でも傑出しています。ドローイングを観察すると、彼の天才ぶりが一層鮮やかに分かります。…

師匠の芸術性も崇高だった!アンドレア・デル・ヴェロッキオ展

ダ・ヴィンチ没後500周年ということで、今年は、世界中の美術館、図書館、博物館で関連する展覧会が開催されています。 ダ・ヴィンチそのものがフォーカスではないのですが、素晴らしい美術展が、ワシントン・ナショナル・ギャラリーで催されています。 それが、『ヴェロッキオ:ルネッサンス時代フローレンスの彫刻家・画家』です。2019年9月15日〜 2020年1月12日となります。 ヴェロッキオ(1435-88頃)の名前になじみがない方も多いのではないでしょうか。ところが実際には、レオナルド・ダ・ヴィンチ の他、 ピエトロ・ペルジーノ(ラファエロの師)、そしておそらく サンドロ・ボッティチェリ を育てた恐るべきアーティストなのです。 残念ながら、ダ・ヴィンチの師匠ということばかりが強調されている影で、 ベロッキオ の技術、才能、芸術性は過小評価されているのが現実です。 この展覧会は、まさに「ルネッサンスに、ヴェロッキオあり」と痛感させてくれます。もしもヴェロッキオが師匠でなければ、 ダ・ヴィンチはここまでの芸術家としての名声は築けなかったでしょう。 では、ヴェロッキオの作品を見てみましょう。 アンドレア・デル・ヴェロッキオ、『聖母子像』部分、1465〜70頃、ベルリン美術館 アンドレア・デル・ヴェロッキオ、『聖母子像』、1465〜70頃、54.6 X 75.8 cm、ベルリン美術館 彫刻家としてトレーニングを積んでいたこそ、人物の存在感、またベールやケープやドレスの質感と詳細がみごとに描き分けられています。 この絵画の写実性を、ヴェロッキオは、もちろん彫刻でも遺憾なく実現しています。 アンドレア・デル・ヴェロッキオ、『花を持つ女』、1475〜80年頃、60 cm、バルジェロ美術館、フィレンツェ 手とドレスの質感を、あまりにもみごとにとらえられています。この彫刻で思い出されるのが、あのダ・ヴィンチ作『ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像』です。 レオナルド・ダ・ヴィンチ、 『 ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像 』、38.1 X…

コートルド美術館展レビュー 東京都美術館

いよいよ終了(12月15日)まで、あと6日を残すばかりとなりました。2019年で最も観るべき美術展と言えるでしょう。 コートルド美術館は、テキスタイル産業で成功した実業家であったサミュエル・コートルド(1876-1947)が、自らのコレクションを遺贈するために設立した美術館(The Courtauld Institute of Art)です。 実業家とアートコレクターという組み合わせは、日本でも世界的にもよくあるパターンですが、中にはお金の許す限り、ただ手あたり次第収集しまくったというコレクションも珍しくありません。 その点、このコートルドコレクションは、まさに世界最高レベル、それぞれの絵画が、画家の傑作と言えるほど一級品揃いなのです。コートルド自身が、相当の鑑識眼を持っていたことを証明しています。 その中でも、じっくりと眼を肥やすに値する、突出した絵画2点があります。 まず1点めは、エドアール・マネの晩年の大作『フォリー・ベルジェールのバー』(1882)です。 エドアール・マネ、『フォリー・ベルジェールのバー』、1882、96 X 130 cm、コートルド美術館 コートルドが、コレクションの中で一番高い値段を払って入手した作品です。大きめのキャンバス(96 x 130 cm)に、背景の鏡に映りこんだシーンを描く難しい構図は圧巻です。印象派の筆致にもかかわらず、各モチーフが精緻に描かれていて、19世紀のバーの雰囲気に引き込まれる魅力があります。 もう1作品は、ピエール=オーギュスト・ルノワール『桟敷席』(1874)です。 ピエール=オーギュスト・ルノワール、『桟敷席』、1874、80 X 63.5 cm、 コートルド美術館 『桟敷席』は、コートルドが2番目に高い値段で入手した作品です。 「エレガント」や「シック」という言葉が最も似つかわしい作品と言っても過言ではありません。 実物とオンライン画像に大差があるのが、この作品です。画像ですと、白とテクスチャーが、単調でフラットに見えてしまうのです。 実際に観察すると、数え切れない白のトーンが流れ込んでいますし、バラエティー豊かなテクスチャーの競演に眼をしばし奪われてしまうこと間違いないありません。

ダ・ヴィンチ没後500年を称える美術展

レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年(2019)に、世界各地で生前の偉業を称える壮大な美術展が開催されました。その主なものを挙げてあります。 真作として世界的に認められている15の絵画作品のうち、いずれかに触れられるまたとないチャンスでした。 Leonard da Vinci: A Life In Drawing クィーンズギャラリー、バッキンガム宮殿 2019年5月24日〜 2019年 10月 13日 `レオナルド・ダ・ヴィンチ、分断された頭蓋骨、1489、イギリス王室コレクション Leonardo da Vinci: A Mind in Motion 大英図書館、2019年6月7日〜 2019年 9月8日 ダ・ヴィンチの3つの手稿:アランデル手稿、フォースター手稿、レスター手稿に焦点を合わせた展覧会です。手稿について詳しくは、Resource を御覧ください。 Leonardo da Vinci's the…