アート 日の出が見られる絵画5選 01/16/2025 2025年の初日の出はご覧になりましたでしょうか。東京では、午前6時51分の予想でした。 普段、ビルの谷間で日の出を愛でるチャンスが激減しているため、改めて眺めると、神々しさに心が洗われる気分になります。日の出の光のまぶしい透明感と周りの空気感にはとても元気づけられます。 というわけで、2025年の幕開けにふさわしく、日の出が印象的な絵画5作品を共有してまいります。 クロード・モネ『印象―日の出』 クロード・モネ、『印象―日の出』、1872、油彩、キャンバス、48 cm × 63 cm、モンマッタン美術館 美術史では最も有名な「日の出」で、まさにレジェンドですね。 クロード・モネ(1840-1926)が、1874年4月に開催されて、後に第1回印象派展と呼ばれるようになった展覧会に出品した作品のひとつです。この年はまた、印象派誕生の年とされています。この絵のタイトルに由来して、印象派と命名されました。 モネは、彼が幼少期を過ごした北フランスの港町ル・アーヴルを訪れ、ホテルの窓からの眺めを描いています。近年、天文学者・物理学者ドナルド・オルセンによって、この作品が描かれた日は1872年11月13日7:35AM頃(日の出から20-30分後)と特定されました。 太陽そのものは普通に丸く描かれています。しかし、その光が当たった水面は、色を筆触分割(色を混ぜずにキャンバス上で隣り合わせて配色)で彩色されていて、私たちの知覚を通してよりダイナミックな光の作用を感じられるようになっています。 印象派展では酷評されましたが、その理由がわかりやすい作品です。水面の暗いブルーグレーの不規則な筆致が浮き上がっています。もしも伝統的な描法に慣れ親しんでいたら、かなり粗雑で衝撃的です。 フィンセント・ファン・ゴッホ『朝日が昇る麦畑』 フィンセント・ファン・ゴッホ、『朝日が昇る麦畑』、1889、 72 cm X 92 cm、油彩、キャンバス、クレラー・ミュラー美術館、オランダ ファン・ゴッホ(1853-90)は、1885〜1890年に30作品以上を含む「麦畑シリーズ」を描いていますが、その中の1作品となります。 1888年12月から耳を切った事件で入院していたアルル市立病院から、翌年サン=レミの療養所に自主的に1889年5月に入所してまもなくの作品です。一か月後に、皆さんがよくご存じの『星月夜』が描かれています。最も生産的な時期でした。 ファン・ゴッホが、「麦畑シリーズ」に力を入れたのは、自然が彼の創造の源であり、神を感じる場であったことももちろんなのですが、それ以上にシンプルな麦畑を題材にして色の実験をしたかったことも確かです。「麦畑シリーズ」を並べてみると、色が活き活きしていて彼がいかに創造性を楽しんでいたことが伝わってきます。 クロード・モネの『印象―日の出』との筆致の違いにもぜひ注目してみてください。 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー『ノーハム城、日の出』 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー、『ノーハム城、日の出』、1845年頃、油彩、キャンバス、90.8 cm × 121.9 cm、テート・ブリテン ノーハム城は、イギリスとスコットランドの境界に位置し、トィード川を望んで建つ廃墟です。この場所は、ウィリアム・ターナー(1775-1851)にとって、生涯に渡って6バージョンを制作するほど特別でした。特に日の出との組み合わせで、その光の描き方を探っています。 ターナーは、ロマン主義の画家とされますが、本作品のように晩年期になるとまさにイギリスの印象派とも言えます。筆致はフランスの印象派とは異なりますが、つかのまの光や空気感をとらえているのは、まさにクロード・モネと共通するコンセプトです。ノーハム城がほとんど見えないのは、モネよりもさらに近代的スタイルにも見えます。 クロード・モネは、1870-71年にイギリスに滞在し、ターナーの絵に触れていたことは明らかになっているのでなんらかの影響を与えていることは確かでしょう。 アルバート・ビアスタット『マッターホルンの日の出』 アルバート・ビアスタット、『マッターホルンの日の出』、1875年以降、148.6 x…